工期25年度まで延長へ 沖永良部地下ダム事業
2021年09月26日
政治・行政
【沖永良部総局】2021年度内の完了を目指していた国営沖永良部農業水利事業(通称・地下ダム事業)は、25年度までの工期延長について関係機関と調整を進めていることが分かった。九州農政局沖永良部農業水利事業所(知名町)は「(工期延長は)より安心して使っていただける地下ダムとするためで、ほとんどの施設は完成し、予定した水利用は可能となる」としている。
事業は安定的な用水の確保を図り、農業生産性の向上と農業経営の安定を促進する目的。受益面積は1497ヘクタール(和泊町704ヘクタール、知名町793ヘクタール)。総事業費は約350億円で、07年に着手した。
現在、6、7号の集水井の揚水ポンプを設置する工事を進めている。21年度末までに、地下ダムに関する工事、1~7号集水井、揚水機場などの取水・送水施設、ファームポンド(貯留施設)、幹支線水路などの配水施設はほぼ完成する見込みで、進捗率は93・9%となる。
20年度までに通水が完了した面積は1008・1ヘクタールで、21年度は39ヘクタールで通水予定。
工期延長の理由について、同事業所は「地下ダムの貯水域内で地下水位が想定より高くなり、排水対策が必要とされる箇所や、周辺より貯水位が低く調査が必要となる箇所が判明。地下ダムの機能に関わることから、慎重に対応した。事業完了後の地元への円滑な管理引き継ぎに向け、施設の機能がしっかり発揮されるかチェックし対処できるよう、必要な期間を確保する考え」と説明した。
畑地かんがい営農推進に向けては、08年7月に国、県、両町の関係機関、農協、沖永良部土地改良区で構成する「沖永良部島畑かん営農推進協議会」を設立。水利用による生育促進効果などを検証する実証ほ場や水利用啓発のための展示ほ場の設置、研修会開催、先進地視察などに取り組んでいる。
水質については事業着手時から毎年、地下水の流入水や貯留水の水質検査を行っており、工事完了後は、施設の予定管理者である沖永良部土地改良区が検査を継続して行う予定。